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鉛フリーはんだ実装の技術課題
鉛フリーはんだ実装における特徴的な技術課題
鉛フリーはんだはこれまで使用されてきた錫―鉛系共晶はんだと比較して、物性的には
1:融点が高い、2:濡れ性が劣る、3:硬い、4:多くの場合共晶合金でない
などの特徴があり、このことに起因する鉛フリーはんだ特有の技術的課題が発生することが
確認されています。
これらの技術的課題を克服して始めて、鉛フリー実装技術を習得できたことになります。
リフト・オフ
リフト・オフとはフロー実装した際にスルーホールのフィレット部で発生する剥離現象です。
剥離は下記の3種類に分類されます。リフト・オフは実装直後にはんだ合金が冷却する際、
既に発生するのが特徴です。
1  フィレット剥離・・・はんだ-銅ランド間で剥離
2  ランド剥離・・・・・銅ランド-基板間で剥離
3  基板剥離・・・・・・基板内で剥離
溶融はんだが凝固する際、共晶はんだでは一気に固化します。しかし、共晶合金でない
鉛フリーはんだとしてBi系鉛フリーはんだを使用した場合、銅ランド近傍で低融点合金相が
最後に固まる時には既に固化した合金は収縮し始めるために剥離が発生することが
確認されています。
リフト・オフを観察する方法としては

1:実体顕微鏡による方法
2:走査型電子顕微鏡による方法
3:断面方向からの観察による方法

があります。

1の実体顕微鏡を用いる方法は比較的簡単に観察可能ですが、基板の傾斜角度、
光源の照射方法、顕微鏡の性能に左右されることがあり、判定には熟練が必要です。

2の走査型電子顕微鏡を用いる方法は正確に判定できますが、走査型電子顕微鏡は
高価な装置であり、何処でも観察することはできません。

3の断面方向からの観察方法はフィレットを含む部位を樹脂で埋め込み後、研磨して
実体顕微鏡でリフト・オフを断面方向から判定します。この方法はフィレット表面に引け巣が
発生している場合には、その深さの情報も同時に得られますメリットがあります。
また、1、2のように外観からでは判定することが非常に困難なリフト・オフに対しても
有効な手段となります。しかし、フィレットを研磨するにも、熟練が必要となります。
リフト・オフを防止する方法としては、高Tg基板を採用したり、実装直後に基板を急冷することで
防止できます。
Bi系の鉛フリーはんだではリフト・オフが多発するため、採用しないことが賢明です。
しかし、Sn-Ag-Cu系の鉛フリーはんだでもリフト・オフを発生するとの報告もあり注意が必要です。
引け巣とデンドライト
引け巣は一見するとクラックの様に見えますが、実際にはフィレット表面での結晶の粒界です。
溶融しているはんだが最初に凝固する初晶(Sn)とAg-Snが成長する際、表面に樹枝状に
成長するのがデンドライトであり、その境目が引け巣です。
引け巣もデンドライトも共晶合金でない合金に多発します。引け巣はクラックを誘発するものではなく
問題はありません。しかし、実装後の検査工程で検査員がクラックと見誤ることが懸念されたり、
あまりにも深い引け巣はクラックを誘発する危険性も指摘するとの報告もあります。
フロー実装における引け巣を防止するためには実装後の基板をしたり、鉛フリーはんだを
共晶合金に変更することが必要です。
ウィスカ
ウイスカとはコネクターの勘合部や半導体のリード材の屈曲部に50μm程度の錫のヒゲが
成長するものです。
ウイスカは鉛フリーはんだ実装特有の現象ではありませんが、鉛フリーはんだ実装に伴い
部品の端子めっきをPbフリーめっきとして錫めっきに変更したために再発した問題です。
再発といいましたが、かつて数十年も前に半導体の端子めっきにSnを用いた際に発見されたため、
Sn-Pb系めっきに変更して防止した経緯があります。
最近のように携帯電話やデジカメのような高密度実装品では切断したウイスカの一部が
端子間を接触するとノイズ等の原因となりますが、産業機器のように実装基板に余裕が
ある場合には問題となることはありません。
ウイスカは基材の残留応力と錫の組み合わせにより成長するため、めっき成分を変更することで
防止可能です。しかし、部品メーカでは錫めっき品が多く使用されているため、その際は
基材をアニールすることで防止できます。
ウイスカは成長しても50μm程度であり、実体顕微鏡でも観察することは可能ですが
熟練が必要です。一般的には走査型電子顕微鏡で観察すれば、容易に観察可能です。
はんだ槽の損傷
フロー実装用のはんだ槽で鉛フリーはんだを使用していると、短期では6ヶ月ではんだ槽に穴が開き、
溶融したはんだが流出する事故が報告されました。そこではんだ槽の材質をSUS304から
SUS316(少量のMoを含有)に変更し、更に窒化処理することで、腐食速度を大幅に
改善できるようになりました。